喉もとすぎれば脱水症状 その2
この記事は喉もと過ぎれば脱水症状 その1 の続きです。
それでもとりあえず何も見なかったように自然に目をそらすため、
顔を背けようと私が首を動かした時だった。
目が合ってしまった。
ヤバいのは確かだった。
私は幽霊を見たり何かを聞いたりすることが出来る。
彼らと周波数を合わせるのが上手いらしい。
だが残念な事に祓う力は授からなかった。
祓う力がない私は『ヤバい』と感じる幽霊と遭遇した時、
と心でつぶやくか
身の回りに塩があればそれを体に振りかける、
または口に含んで体内ごと清めるという
素人丸出しの対処でしのいでいた。
更に言えば私は専門的な知識は皆無に等しく
テレビ等からの受け売りが多かった。
まず話しかけられても答えない
そして見えても見えないフリ
一番大事なのが相手と絶対に目を合わせてはいけない
など経験的なものと世辞を参考に無事に過ごしてきた。
その私の経験から来る本能がヤバいと感じ取っていた。
思考は完璧なまでに止まった。
本当にヤバいことは確かだった。
大抵笑いかけてくる方はぶっ飛んでるか
私に対して妙な愛着を持っているか、
とりあえずぶっ飛んでる事は確かだった。
考えるより先に体が動いた。
とりあえず塩を用意しよう。
盛塩だ、盛塩やって部屋に結界はろう。
いや、それしかない。
というか怖すぎて漏れそう。
私が漏れそう。
盛塩やる前に漏れそう。
頭の中が恐怖とパニックでぐちゃぐちゃだった。
漏らしそうなのを必死に我慢し
私は小皿4枚に塩を盛り、部屋の四隅の角にそれを置いた。
四隅の一角は女性が見えた出窓がついているポイントで、
口から出かかる心臓を必死に飲み込みつつ
やっとの思いでそこに小皿を置いた。
その時には外に女性の姿はなかった。
私の情報では
盛塩が向き合っている一直線上に
結界のようなものが張られ
四隅に置くことで内側をかこう形で四角形の守りが作られる。
これにより外側から幽霊的なものは入ってこれない。
というのが盛塩の使い方だった。
盛塩で結界を張り幽霊の侵入を防ぎ
塩を体内に取り込み、自分の体ごと守りに入った。
一段落して女性の姿も見えず
ようやく落ち着いてくると、
どうも無性に
たった今、遭遇した事や盛塩の件を誰かに話したくなった。
そこで私はTwitterでつぶやいてみる事にした。
この頃の私はTwitterでかなりのフォロー数に比例し
フォロワー数もハンパなくて
私のこのつぶやきへの反応はすぐにあった。
「やば!また幽霊系?」
「大丈夫!?」
「kwsk」
「雨戸を閉められないどうしてくれる。」
しめしめ。
私の恐怖を少しでも伝染させてくれるわ。
私は妙なハイテンション状態にあった。
恐怖と安堵が押し寄せ
混沌とした感情を抱かずにはいられず
不安な気持ちを拭い去れず
久々に自分では対処しきれないピンチの中に私はいたのだ。
そして
私のつぶやきへの反応がたくさんある中で
一つの発言に目が止まった。
「それ今、部屋の中にいるよ。」
ーつづくー
長くなってしまいました。
次のその3でこの話は最後です。